ブラックライトと殺菌灯

4Wのブラックライトと殺菌灯を買ってみたのでスペクトルを測定してみました。
そのへんで売ってる4W蛍光灯付ライト等で点灯することができます。

大西研のOcean Optics USB2000(可視)およびHR2000(紫外)にて測定。
グラフの色については、赤がHR2000のデータで青がUSB2000のデータ。
強度補正はしていませんが、グラフについてはバックグラウンドを引いた後、USB2000の404nmピーク高をHR2000の404nmピーク高で規格化する処理を一応行っています。
数値データ(テキスト形式)

殺菌灯


食品関係やら生物関係で殺菌・滅菌用途に使われている(らしい)殺菌灯です。
東芝のカタログ技術資料
松下のカタログ

見てのとおり紫外域の254nmの光が猛烈に強く、このピークをきちんと表示しようとすると他のピークが全然見えないくらいです。

 そこで、他のバンドも見えるように縦軸を拡大したのがこの画像。他の波長でも光が出ていることが分かります。

殺菌ランプの構造は、蛍光物質が管内に塗られていない蛍光灯、つまり低圧水銀ランプです。というわけで、現れるピークは以前測定した水銀ランプと同じ。下の写真を見ても分かるように、点灯時は透明な蛍光管の中で青白く光ります。

なお、殺菌ランプから出ている光は太陽光だとオゾン層で吸収されてしまう短波長の紫外線ですので、人体に有害です。点灯する際は紫外線カットの眼鏡を着用の上、なるべく肌にも当たらないよう防護してからにしましょう。

捕虫器用蛍光ランプ, ケミカルランプ


よく誘蛾灯に使われている、青白い光の蛍光灯です。プリント基板のパターンをエッチングする時にも使うようです。
東芝のカタログ

スペクトルを見てみると、上記殺菌ランプと同じ水銀のピークと350nm付近の幅広のピークで構成されています。この350nm付近の紫外光が虫を引き寄せたりプリント基板のエッチング時に化学反応おこさせたりするわけですね。

なお、このランプ(普通の蛍光灯にも当てはまることですが)では300nm以下の波長の光は出ていませんが、これは殺菌灯とは材質が違うためガラスが300nm以下の波長を吸収してしまうからと推測されます。

ブラックライト ブルー 蛍光灯


いわゆるブラックライトです。
松下のカタログ

スペクトルからも分かるように、350nm付近の幅広のピークが紫外光を放射していますが、可視光(概ね400~750nm)はほとんど出ていません。その結果、光は出ているけれども人間には見えない(見えにくい)ということになります。

ケミカルランプとブラックライトの比較


上段がケミカルランプ、下段がブラックライトです。

見てのとおり、ブラックライトでは可視光が出ていない以外はほとんど一緒です。 …ということは、ブラックライトはケミカルランプの外側に可視光カットフィルター(紫外光透過フィルター)をかけたような構造のものであるということもできますね。

蛍光灯


蛍光灯です。「照明とディスプレイ」の蛍光灯とは違うものです(蛍光灯つき懐中電灯にはじめから入っていた4Wのもの)。

当然ながらブラックライトとは異なる蛍光物質が使われているため、水銀線は一緒ですが幅広のピークの位置が違いますね。

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