レーザー光

秋月電子で売っていた赤色レーザー発光モジュールと、共立電子で売っている緑色レーザーダイオードモジュールモジューのスペクトルを測定してみました。

大西研のファイバー分光器(Ocean Optics USB2000)にて測定。強度補正なし。グラフはベースライン引き算済。
数値データ(テキスト形式)

赤色レーザー発光モジュール


4/26の不定期更新日記にも書いた、秋月電子で売っていた薄型赤色レーザー発光モジュールから出た光のスペクトル。一般にダイオードレーザーの波長は温度等の環境にも依存するため、気体レーザー(たとえばヘリウムネオンレーザー)のようにいつも同じ波長の光が出てくるわけではありません。どうやらこのモジュールからは655nmの光が出ているようです。なお、光の出力は1mW以下でした。

緑色レーザーダイオードモジュール


こちらは5/9の不定期更新日記共立電子で買った緑色レーザーダイオードモジュール(IE-L532-3G-3-P1 (-))のスペクトル。
グリーンレーザーの場合は、まずダイオードレーザーでNd:YVO4を励起して1064nmの近赤外光を発生させます。次にこの1064nmの光から非線形光学結晶で第二高調波に変換して532nm(緑色)の光を出します*1。
そんなわけで、今回のスペクトルを見ても分かるようにグリーンレーザーからは532nmの光(緑色)が出ます。パワーとしては532nmがほとんどだろうとは思いますが、励起用のダイオードレーザーらしき810nmの光(赤~近赤外*2)もわずかに混ざっていたり、さらに拡大してみると526nmくらいでも何かが僅かに光っていたりはするようですね。
なお出力は購入状態で5~7mWでしたが、Web上のいくつものページでも指摘されているとおり、基板の可変抵抗をまわすと出力が変化します。最大どれくらい出るかは試していませんが、15mWくらいは出せるようです。

おまけ:ある日のTOPAS White


おまけ。手近にあった他のレーザーのスペクトル。大西研の非同軸光パラメトリック増幅器のある日の出力。フェムト秒クラスのパルスレーザー*3*4だと、こんなふうにスペクトルが幅広になります。

おまけ:Ti:Sapphire再生増幅器


おまけその2。のもとが以前使っていたTi:Sapphire再生増幅器出力とその第二・第三高調波*5*6のある日のスペクトル。改造Spectra-Physics 3900S+Clark CPA-1の組み合わせ。どうやらこの日*7は825nmで実験を行ったらしい。パルス幅はスペクトル幅から概算して300~400fsくらい。(2006/06/23追加)

注1)いまのところ実際にレーザーモジュールの製品情報を見て確認したわけではなく、「共立グリーンレーザで遊ぶ」とか「FF page 半導体レーザ」「DPSSグリーン 新共立モジュール」を見ての推測。
注2)視感度の境界域。強ければ赤く見えないこともないくらいの波長。
注3)1フェムト秒(1fs)=0.000000000000001秒
注4)パルスレーザー:ストロボみたいに短い時間で点滅するレーザー。
注5)レーザーを非線形光学結晶に通すと2倍(第二高調波,SH)、3倍(第三高調波,TH)の周波数の光が出てくることがあり、波長変換に利用されます。
注6)この3倍波は実は基本波+第2高調波の和周波。
注7)2003年4月頃。

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